世界の食料需給は供給量を上回りながら増加しています。もしも、天候異変などによる不作が起きれば、最初に経済力の弱い途上国の食料調達が困難になります。日本の購買力が継続し供給物があれば食料を輸入することもできますが、世界全体の食料需給安定のためには、各国が一定の食料を維持することが最も重要です。実際に先進七カ国のうちでは、イギリスの74%を除けば90%台後半から140%近くの自給率を確保し、国民への食料供給に責任を持っています。現在、日本の供給熱量換算食料自給率は40%にすぎませんが、農政を抜本的に転換することにより、政権交代後10年でこれを50%に上げ、将来は60%以上にすることを目標とします。
従来の農政は、価格支持や共同施設等への補助金助成が中心でしたが、このことが自給率の低下や農業の衰退を招いてきました。この助成金行政を改め、所得政策へ転換(直接支払いの導入)することにより、現在の農地約470万haの維持、わが国の自給率の向上、食の安心・安全の確保、農業の持つ多面的機能の維持、国土の均衡ある発展を図るため地方経済の活性化、農家が農業を維持できるような条件の整備等を可能とします。
現在の農政は、作物の価格支持政策や構造改善事業への助成を中心とした補助金漬けの行政となっています。これを抜本的に転換し、農業・農村を活性化するため、農政の柱として、原則として全ての販売農家に直接支払いを行います。この総額は1兆円程度とし、そのうち5000億円を国の直接支払いとして、米・麦・大豆・雑穀・菜種・飼料作物などの重点品目を対象に行います。また、地方分権を推進する観点から地方に5000億円を交付して地方公共団体が地域の農政を反映した直接支払いができるようにします。その他、中山間地域や環境保全型農業(有機農法など)に対する直接支払いを実施します。
強制減反を廃止して、米の300万トン備蓄体制を確立します。このことにより、食料の安全保障、諸外国に対する食料人道支援の実施、バイオマス使用推進への道を確立します。なお、300万トン以上の余剰米や一定期間保有した備蓄米についても同様の方法で活用します。
今、農村漁村に新しいライフスタイル求めて関心を持つ人たちが増えつつあり、この流れは若者から定年退職者まで幅広い各層に広まっています。さらに、農山漁村を訪れる人の数も増えつつあり、農山漁村はこのような新しい動きに対応して活性化していかなければなりません。このため、農山漁村における、やすらぎ、いやし、医療、療養の機能などの各方面への活用を推進するとともに、小・中・高における自然体験、農林漁業体験の学習を重視し、農作業を通じて心身障がいの回復・機能向上を促す園芸療法の普及拡大を図ります。また、グリーンツーリズム等の推進に向け、少人数宿泊を目的とした民宿等の消防法、環境衛生法などの規制緩和と、民宿等の新規設立や施設の改築に際しての無利息融資制度を創設します。この他農山漁村の優れた点を活用した雇用と所得の拡大のために情報提供等の支援を行います。
わが国の消費者は、BSEや鳥インフルエンザを経験し、食の安心・安全の確保に関心を持ってきています。そのため、まず、内閣府・農林水産省・厚生労働省にまたがっている食品安全行政を一体化してするとともに、主要な輸出国に輸入国の立場から調査を行う国際食品調査官(仮称)を配置します。また、加工食品、さらには外食においても、今後可能な限り原料産地表示を義務化していきます。特に、地域の農林水産業の実情と重要性を教えるため、学校給食において、地産地消・旬産旬消を推進します。
就業機会の拡大、教育、医療サービスの向上、公共交通機関の確保、などによる定住条件の向上を進め、子どものいる家族や高齢者でも安心して住めるようにするとともに、農村資源の保全(基幹水利施設等の維持管理など)を国・地方公共団体が責任を持って行えるようにします。
農地制度については、できるかぎり参入規制(入口規制)を緩和化するとともに、農地所有者の耕作義務の明確化や転用規制(出口規制)の厳格化により、なるべく意欲のある多くの者が農業に参入できるようにすることを基本として改革を進めます。また、農業を実践したいというサラリーマンや定年退職者などが増えている状況を踏まえ、市町村が一定の要件を満たす地域を指定し、その地域内のおける農地取得の下限面積条件について、農業を継続すること、市町村の農地の利用計画に基づくこと、転用を認めないこと、原則として他人への譲渡を認めない等を要件として地域の実情に合わせて緩和します。
農地面積は、1961年の609万haをピークに減少し続け、2003年には約470万haへと40年余りの間に約130万ha減少しましたが、その大きな要因は転用と耕作放棄による荒廃です。農地は、農業生産にとって最も基礎的な資源であり、わが国の食料安全保障の観点からもその確保と有効利用に積極的に取り組む必要があるため、転用許可制度の趣旨に沿い、しっかりとした土地利用計画策定とその厳格な運用によって、無秩序な転用を防止します。また市町村などに、耕作放棄農地について耕作意欲のある者に利用権の設定を命じる権限を与えるなどの政策を中心に、国は将来にわたって現在の面積(約470万ha)程度の農地を確保するようにします。
農村女性は、農業就業人口375万人の約6割を占めるなど、農業や地域の活性化に重要な役割を果たしています。このような状況に鑑み、農村漁村における女性が、農地を取得し、その他のビジネスを起業することを積極的に支援するための「農山漁村女性起業支援法」の制定や、農山漁村女性子育て支援ヘルパー制度の創設を行います。また、農山漁村において女性の声をより反映させるため、農協、森林組合、漁協等の理事、農業委員、土地改良区理事において地域の実態に合わせて女性理事などの数値目標を設定し、その実現に努めます。
日本では環境汚染や地球温暖化といった環境問題はますます顕在化しつつありますが、バイオマスの利用は多岐にわたること、バイオマス廃棄物はすべて再利用可能であることという特性を活かせば、環境調和型・資源循環型社会の構築が可能となります。このため、バイオ産業を、21世紀を担う日本の戦略的産業として位置づけて支援措置を講じます。また、農山漁村は大量のバイオマス資源を産出する条件に恵まれた地域であることに鑑み、これらの地域においてバイオ産業を育成し、雇用の場を創造し、地域経済の活性化を図るため、一定の地域をモデル地区として指定し、重点的にバイオ産業の育成と利用の促進を図ります。